私達の世界はタイトル未定。
「ほ、ほら、奈古君来てる」
「ここで待ち合わせてたんです。おーい、奈古」
私達に気付いた奈古君はこちらに向かって歩いて来ると、無表情で挨拶をしてくる。
一緒に焼肉に行った時には、静かに笑ってくれる瞬間はあったが、もう奈古君は笑わない。まるで、自分を見ているようだ。
「奈古、みやちゃん手作りのハンバーグ、超美味しかった」
「へぇ」
良かったね、と言う奈古君は一冊の本を手に持っており、本の題名は見覚えあり、私は思わず反応してしまった。