私達の世界はタイトル未定。




「その本……し、知ってる」

「え、マジですか。面白いですよね」

「う、うん、すごく面白い。学生の時、一番好きな本でした」

 結構マイナーな本で、読んでいる人を見たことがなかったため、ドキッとする。

「えー何、二人で盛り上がらないで。俺も話に入れてよー」

 桃園君はわざとげに頬を膨らめると、再び私のお弁当箱から今度は卵焼きを口に入れた。もぐもぐ美味しそうに食べてもらえるのは嬉しいが、この後同じ箸を再び自分が使うと思うと、恥ずかしい……。



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