私達の世界はタイトル未定。
最後に浴衣を着たのは、声がスラスラ出ていた小学生の頃で、私は中高生の青春をめいいっぱい謳歌できる時に、夏祭りも花火大会も、海もプールもひまわり畑にも、どこにも行けなかった。行かなかった。
白地に、青や紫の淡く小さなアサガオが散りばめられた柄に、赤い帯。
自分の好みというものさえ感じ取れないくらい、鈍感になっていて、ほぼ店員さんチョイスのこの浴衣を、私は調べて自ら着てきた。
しかし、なんせ初めてのことで上手く着れず、着崩れるのは時間の問題だと思われた。