私達の世界はタイトル未定。
「ねぇ鳰さん、何でもない景色なのに、いつもと違って綺麗ですよね」
真っ白な雪の積もった、何気ない街並みは確かに美しく、私は自然と口角を上げた。
「奈古君のことが……好き」
「え、何それ。ふいうちズルいですよ」
「思った時に言いたいなって。好き……だなって」
「俺も同じ気持ちですよ」
優しい色の淡い朝焼けは全てを包み込んでくれているかのようで、隣を見上げると奈古君は笑い、私もまた彼に笑いかけたのだった。
─了─