学園スパイラル~七不思議編~
「健、頼めるかい?」

「いいけど」

 どうやって教えればいいんだろう? まあ、やってみようかな。

「頼んだよ」

 匠は青のアロハシャツと短パンを受け取り、プールに入っていく健を見送る。

「本当にいるんだろうな」

 真っ暗なプールに一人、ぼんやりとした光を相手に丁寧に教えている。あれで本当に幽霊が泳げるようになるのか、耕平は不安だった。

 いや、そもそも幽霊なのか。あの光はただの思い込みではないだろうか。人間の脳なんて、良く出来ているだけに平気で嘘をつく。

「いくらインターハイで優勝したあいつでも、幽霊に教えるのは難しいんじゃないのか」

「まあ見ていよう」

 相変わらずの口振りに顔をしかめつつ、いくらなんでもこんな方法を使ってまで友達を騙すような奴じゃないだろうと素直に従った。


 
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