学園スパイラル~七不思議編~
「確かに、上手い」
「よく、描けてるね」
待ちに待って彼女はようやく、美術の授業を終えた。二人は、それに対する頑張りを褒め称えた。
すると、どこからともなく、そよ風が頬をくすぐった。それは閉め切った部屋であるにも関わらず、どこか春を思わせる新緑の香りをまとっていた。
「ありがとうと言っているよ」
匠は目を細めて二人に笑みを浮かべる。危ない、女だったら確実に惚れている。
「成仏したんだな」
「そか。良かったね」
「うん。そうだね」
部屋をあとにする匠は残された真っ白いキャンバスを見やる。
もし二人にキャンバスの絵が見えていたならば、返って感想を言いづらかったかもしれない。
それでも、匠は素晴らしい絵だと思った。
子どもの落書き程度の出来でも、死して尚も完成させたいと願った絵の相手は、彼女の初恋の男子生徒だったのだから。
健は、その男子に似ていたのだろう。部屋に入ってすぐ、彼女はずっと健から目を離さなかった。
その想いが詰まった作品は、確かに素晴らしい絵なのだ。
「よく、描けてるね」
待ちに待って彼女はようやく、美術の授業を終えた。二人は、それに対する頑張りを褒め称えた。
すると、どこからともなく、そよ風が頬をくすぐった。それは閉め切った部屋であるにも関わらず、どこか春を思わせる新緑の香りをまとっていた。
「ありがとうと言っているよ」
匠は目を細めて二人に笑みを浮かべる。危ない、女だったら確実に惚れている。
「成仏したんだな」
「そか。良かったね」
「うん。そうだね」
部屋をあとにする匠は残された真っ白いキャンバスを見やる。
もし二人にキャンバスの絵が見えていたならば、返って感想を言いづらかったかもしれない。
それでも、匠は素晴らしい絵だと思った。
子どもの落書き程度の出来でも、死して尚も完成させたいと願った絵の相手は、彼女の初恋の男子生徒だったのだから。
健は、その男子に似ていたのだろう。部屋に入ってすぐ、彼女はずっと健から目を離さなかった。
その想いが詰まった作品は、確かに素晴らしい絵なのだ。