学園スパイラル~七不思議編~
真っ暗な空間は独特の音を寒々しく響かせる。匠は持っている懐中電灯をランタンモードにして床に置いた。
小さなランタン程度では体育ドームの全てを照らすことは出来ないが、三人の周囲数メートルくらいはぼんやりと明るい。
「俺には見えないんだけど、あやとりしてるの?」
健は、体育ドームの真ん中に見える青白い光を視界に捉えながら匠に訊ねた。
「うん。いるね」
質問に答えつつ、その薄明かりにゆっくりと近づく。
ふいに、ぴたりと止まった匠に二人も同じく止まる。彼が見下ろしている場所に、きっとその少女の幽霊がいるのだろう。
目を細め、しばらく青白い光を見下ろしていた匠は、おもむろにしゃがみ込む。
「何を作っているんだい?」
片膝をつき、誰もいない空間に問いかける。