学園スパイラル~七不思議編~
「本当に見えてるのか。こいつ」

 誰もいない空間に話しかけている匠を見下ろし耕平は顔をしかめた。

「見えてるんじゃないかな」

 それに対して、のほほんと答える健に、脳みそまで筋肉で出来ているこいつに聞いても無駄かと肩をすくめる。

「手伝ってあげよう」

 匠はにこりと笑って何やら一人で手指を動かし始めた。

「何してるのかな」

「あやとりしてる少女の霊なんだろ。だったら、あやとりに決まっている」

「おお。なるほど!」

 ポンと手を打つ健に、むしろどうして解らないんだと眉間のしわを深く刻んだ。

「で? この子は、なんでここにいるんだ?」

「この子はあやとりが好きで、自由時間にここであやとりをしていたんだ」

 もちろん体育ドームの真ん中ではなく隅っこで一人、あやとりをしていた。
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