学園スパイラル~七不思議編~
「いっそのことロープ巻き付ける?」

 手伝っていた健が飽きてぶーたれた。

「もっといい方法がある」

 匠はそう言って耕平に目を向ける。

「なに? なんだ?」

「体を貸してやってくれないか」

「ああ、なるほど」

「なるほどじゃないよ! なんで僕が!?」

「大丈夫」

 匠は笑みを浮かべて耕平の背中をぽんと押した。

「へ?」

 人体模型と目が合ったその瞬間、人体模型がカクンと肩を落とし、耕平の頭がガクリと垂れる。

「およ?」

 健が小首をかしげて耕平の顔を覗き込んだそのとき、覇気のない瞳を輝かせてすっと頭をもたげた。

「憑かれた?」

「見事に憑依されたね」

 彼は霊媒体質だと思っていたんだ。匠は口の端を吊り上げて嬉しそうにつぶやいた。

 眺めていると、耕平に取り憑いた霊は何やら準備を始めている。
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