学園スパイラル~七不思議編~
「なんだろ? 何かの実験かな?」

 過酸化水素水(オキシドール)と二酸化マンガン、それに使用する実験道具を机に並べていく。

「どうやら、酸素を造り出す実験のようだね」

「それって、中学の“おさらい”でやる実験じゃん」

「この男の子は、入学して実験前に転校したらしい」

 実験が出来ずにずっと心残りだった。

「──それって、死んでないの?」

「うん。死んでないよ」

 目の前にいるのはいわば、生き霊というやつだ。

 死んでもいないのに七不思議に組み込まれた異例の待遇である。人体模型に憑いていた事が要因ではあるけれども、それは致し方ない。

「転入先で出来なかったの?」

「その頃には実験は終っていたんだろう」

「これって、そんなに残念がるような実験なのかな」

 生き霊を残すほどのものとは思えないんだけど……。健は目の焦点の合わないながら実験を進めている耕平を見つめた。
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