学園スパイラル~七不思議編~
「でもさ~。縄跳びしてるって聞いたのに、違ったね」

「噂というものは、形を変えるものだからね」

「今度のはちゃんとした幽霊なんだろうな?」

 幽霊なんて信じていなかったんじゃないのか。匠と健は心の中でツッコミを入れつつ先に進む。

「何か聞こえる」

 音楽室に近づくにつれ、ピアノらしき音色が冷たい廊下に響いてくる。

 しかしその曲は──

「ホントに犬のお巡りさんだ」

 驚いた健に匠は小さく笑みを返す。音楽室の扉の前まで来ると、すすり泣く声がメロディに紛れて聞こえてきた。

 匠はこれまたコピーキーで鍵を開け健が引き戸を引くと、ピアノと泣き声はぴたりと止んだ。懐中電灯の明かりをあてて暗い室内を見回す。
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