学園スパイラル~七不思議編~
「ふむ」

 しばらく幽霊の様子を眺めていた匠は、顎に手を添え小さく唸る。解決策でも練っているのだろうか。

 解決してもらわなければ困ると耕平は匠を見上げた。さすがにここだけは、ここだけはそのままにして欲しくはない。

「君たちは、ここから動いてはいけないよ」

 少し思案したあと、健たちに言い残し立ち上がった。

「え?」

「何をするつもりだ」

 そんなに堂々と立ち上がって厨房に入るんじゃない! 呪われたらどうするんだと耕平は手を伸ばすが、固まった体では匠を掴むことは敵わず、恐怖で声も出ない。

 厨房の幽霊は、唐突に現れた匠に驚いたのか中華鍋の動きを止めた。そして、首入りの中華鍋を持ちながら音もなく滑るように匠に近寄る。

 耕平は、あまりのことに小さく叫びを上げた。
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