Flower〜君に伝えたいことがある
園長は荷物の中から何かを取り出す
それをスっと机の上に置いた
【小石川 三葉】と書かれた通帳
「これはあなたのお母様から預かったものです。
2ヶ月ほど前お母様がうちにお見えになられた時に預かったのよ」
通帳を開く三葉が驚いたような顔をする
「引き渡しを拒否されたのは三葉さんの未来を壊してしまうのが怖かった、そう言ってあったわ
このお金は家を売ったお金……全て三葉さんのために残しておいてくださったのよ」
「……」
言葉にならない三葉
「……じゃぁ、ここを出る時に私にくれたあのお金も?」
園長は静かに首を横に振る
「あれはお父様からよ……」
「……え?」
俺と三葉は顔を見合わせる
「三葉さんがここに来る時、お父様にも承諾を得たのよ。その時に自分は何も出来ないから……そう言って通帳をお預けになったわ」
「…………」
三葉は両手で顔を隠し少し震えていた