Flower〜君に伝えたいことがある
その時母さんは父さんに渡す
『三葉ちゃんのためになるのなら』
そう言って父さんと母さんが貯めていた家を買うための頭金が入った通帳を……
「お父さんね、三葉ちゃんが笑顔を取り戻すまで子供は作らないそう言ったのよ!」
母さんは笑ってる
「でも私もそれに賛成した。だってそうでしょう?自分の子供が苦しんでいるのに自分たちだけ新しい命を作るなんて烏滸がましいとおもわない?」
「だから年が離れてるんだ……」
「産まれて来た太陽と陽葵は三葉そっくりだった。いつでも三葉を思い出せる……そう思ったけど
洋子が会いに言ったと聞いた時 、どうしても俺の目の届く所に置いておきたいと思った。それも俺のエゴだよな」
父さんは苦しそうに笑う
「園長に電話をしてうちの近くに住むようにしてもらった……もしかしたらその時からこうやって三葉と話ができる日を待っていたのかもしれない」
「意気地無しの決断に母さんも賛成した!
そしたら一葉が三葉ちゃん連れてくるんだもの!心底驚いたわよ」
「母さん全部知ってた……?」
「言ったでしょう?お母さんは引き取ってあげたかったの!例え血の繋がりがなくても愛するお父さんの娘だもの!」
三葉はずっと泣いている
「三葉、こうやって来てくれてありがとう……
一葉を選んでくれてありがとう……
生きていてくれてありがとう……」
父さんは泣いた
俺も溢れるものを抑えきれない
俺は三葉を抱きしめた
子供だった俺達は全てから逃げようとしていた
でもこうして少しずつでも受け入れることによって
自分たちの軌跡を知ることが出来る