俺の同僚曰く、世界平和はどんちゃん騒ぎと笑顔でできている「下」
「早く脱出するネ!!この家、傾いているヨ!!もうじきに倒壊するネ!!」

リーの言葉がどう言うことか、一瞬わからなかった。しかし冷静になって周りを見れば、倒れた家具が左に寄り始めている。

「えっ?えっ?」

不安げな顔を見せているリリーは、何が起きたのかまだ飲み込めていない様子だ。

「リリー、寒いだろうからこれを着ろ。外に出るぞ」

俺の上着を着せ、リリーを横抱きにする。転ばないように気をつけながら、慎重に進む。こういう時に慌てると逆に危険だと訓練で教わったからだ。

部屋の扉をリーが開け、廊下に出る。たしかに傾いている。倒壊はもはや時間の問題だろう。

「アレックスたちは大丈夫だろうか…」

一階にいた五人を思い浮かべる。リーが俺の腕に手を置いた。

「あの五人は一階にいるから、脱出はきっと容易いヨ!私たちも脱出するヨ!」

「そうだな」

「ゲホッ!ゲホッ!私…自分で歩く…」

降りようとするリリーに、「こっちの方が早いから」と俺とリーで言い聞かせ、歩き出した。斜めになり始めている建物は、思っている以上に進みにくい。

階段を慎重に降りる。しかし、このスピードでは間に合わないと俺は思い始めた。天井はいつ崩れてもいいぞと言わんばかりに軋んでいる。このままでは下敷きになりかねない。

「リー、案があるんだが…」

俺が二階の廊下で立ち止まりリーにそう言うと、「私も言おうとしていたネ!」とリーも言った。
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