俺の同僚曰く、世界平和はどんちゃん騒ぎと笑顔でできている「下」
リリーの笑顔は、存在は、俺を強くし大きくする。

そう強く思った。いつも、気がつかないうちにリリーに守られているのだ。

「着いたヨ!ここはとても大きい中華街だネ。おすすめの店がたくさんだヨ」

リーが笑う。

大きな赤色の門が入り口のようだ。何か文字が書いてあるが、見たことのない文字だ。門の向こうには様々な店が両側に並び、人々で賑わっている。

「うわぁ〜!すごい!」

リリーがはしゃぎながら門をくぐる。

「リリーさん、無理しないでくださいね」

「そうだネ。病み上がりだし、しんどかったら私に言うネ!」

ジャックがリリーに言うと、リーが思い出したように言う。まあ、こんなに元気だと病気になっていたなど嘘のようなのだが…。

「それにしても、とても賑やかですね。まるでお祭りみたい」

小町が賑やかな通りを見て、目を細める。俺の脳裏に桜花国での祭りが再生された。あの事件が起きた後、小町はとても落ち込んでいた。賑やかだった会場が恐怖に包まれ、人々が逃げ惑った。小町にとっても、俺やリリーにとっても苦しい記憶を……。
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