俺の同僚曰く、世界平和はどんちゃん騒ぎと笑顔でできている「下」
小町とフローレンスに言葉をかけ、ジャックが「行きましょうか」と俺に声をかける。

「ああ」

俺は頷き、剣を握りしめた。俺とジャックは剣術を見せることにした。俺は武術以外何もできないのでどうするか迷っていた時、ジャックが剣術を提案したのだ。

正直、ジャックが剣術が得意には見えない。見えなかった。身長は俺とそんなに変わらないが、筋肉はそんなについてはいない。身なりのよい紳士だとしか思っていなかったのだが、稽古をしてみると強いことがわかった。人は見かけによらずとはまさにこのことだろう。

舞台に向かって歩こうとした俺の腕を、「待って!」とリリーが掴んだ。俺の心臓が跳ねる。

「……怪我、しないでね」

リリーは心配げな表情で、俺をしっかりと見つめる。俺はその頭に手を置き、「大丈夫だ」と言った。

舞台に俺とジャックが剣を持って登場すると、文族から先ほどとは違う歓声が上がる。やはり、リーの言った通り好戦的な民族だからか。

漫才を見ても笑わず、小町とフローレンスの踊りにもあくびをしていたあの入れ墨男も、初めて興奮している表情を見せた。

俺とジャックは試合を始める前の礼をし、試合を始めた。
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