俺の同僚曰く、世界平和はどんちゃん騒ぎと笑顔でできている「下」
先に間合いを詰め、攻撃をしたのはジャックの方だった。素早い動きに驚きながら、俺はその攻撃を避け、何とかジャックの手から剣を奪えないかと剣を振り下ろす。それはあっさりと避けられた。

キン、キンと両者の剣が重なる。歓声がどんどん大きくなっていく。

ジャックの目は、普段の穏やかな紳士のものではなかった。狙った獲物は確実に仕留めるハンターのような目をしている。

その表情の変化にも驚きながら、俺は後ろに一旦下がりまたぶつかる。

どれほど剣を交えていたのかわからない。

俺の手からジャックは剣を叩き落とし、ジャックが勝者となった。

「失礼いたしました」

ジャックが俺にお辞儀をする。

「いや、楽しかった。ありがとう」

ジャックの叔父は戦場で活躍していた。ジャックが武術の習得をしていても不思議ではないだろう。

俺とジャックは興奮の冷めない観客に頭を下げ、舞台そでへと向かった。

「リーバス、お疲れ様!かっこよかったよ!」

誰よりも先に、リリーが俺に駆け寄る。

「あ、ありがとう…」

リリーの言葉がとても嬉しい。俺の胸が高鳴り、アレックスたちがニヤニヤしながら俺を見つめる。……あとで覚えていろ。

そして、舞台はイワンとリリーの発表になった。どうやら魔術を披露するらしい。
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