俺の同僚曰く、世界平和はどんちゃん騒ぎと笑顔でできている「下」
イワンらしいな、と俺は微笑む。リリーはどうやら助手のようだ。

イワンたちが舞台で魔術の準備をしている間、あの入れ墨男を見てみると、どこか真剣な顔で舞台を見つめている。魔術には興味があるのだろうか。

「えっと…それじゃあ始まるよ!」

イワンが魔導師のようなマントを羽織り、手に古い魔術書を持つ。リリーが「やった〜!イエーイ!」と大広間を盛り上げた。

「まずは、炎や水を操るよ〜。リリーは蝋燭を持ってくれる?」

「は〜い!みんなよく見ててね」

リリーは火のついた蝋燭を持つ。炎がリリーを妖艶に照らし出し、俺は見とれた。

イワンが呪文を唱える。すると、炎の形が一瞬で龍になり、大広間の天井を一周飛んで消えた。

大広間からは、歓声と拍手が飛び交う。イワンとリリーの発表は続いた。

氷を一瞬で美しい女性に変えたり、精霊を呼び出して美しい幻の景色を作り出したり、観客たちは舞台から一瞬も目を離すことなく見続けている。

「さて、最後に魔法の力が込められた鏡を用意しました〜!」

イワンがそう言うと、リリーが布がかけられた大きな等身大の鏡を持ってくる。
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