俺の同僚曰く、世界平和はどんちゃん騒ぎと笑顔でできている「下」
「大丈夫だ。安心して行ってこい!」

リリーの頭を撫でる。柔らかな髪の感触が俺の指先に残った。

リリーは鏡の前に立ち、イワンが布を取る。俺たちは目を閉じた。

目を閉じているので、当然目の前は暗闇一つだ。リリーの真実とは何なんだろう?頭の中に、興味と好奇心が現れる。

しかし、リリーがあそこまで何かに怯えるということは、本当に知られたくないことなのかもしれない。何がそんなに怖いのだろう。

背徳感が募る中、俺は少しだけ目を開けた。ぼやけた視界の中で、鏡に映るリリーの真実を見る。

レースやリボンの豪華なドレスを着た女性が映っている。当たり前だ、リリーは貴族なのだ。豪華なドレスで着飾るのは当然だろう。

リリーの顔に視線を向けた時、俺は驚いてもう一度きつく目を閉じた。

リリーの目の色が……違ったような気がした。水色ではなく……きれいなエメラルドグリーン。

そして、リリーの頭にあったのは……。

「嫌っ!!やめて!!見ないで!!」

リリーの叫び声に、俺たちは驚いて目を開ける。イワンが慌てて布を鏡にかぶせていた。

舞台に文族の男性が上がり、リリーの真実を見ようとしたのだ。

「ちぇっ…」
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