俺の同僚曰く、世界平和はどんちゃん騒ぎと笑顔でできている「下」
女性は緊張したように頭を下げる。その人物は「いえ、こちらこそこんな遅い時間に密会をさせていただいて感謝しております」と女性と同じように頭を下げた。

部屋の中には、二人の人物が椅子に座っていた。高級なスーツを着た初老の男性ーーールーファス・マーロンと、メイド服を着た女性ーーーライナだ。

「ルーファス様、ライナ、朱国までわざわざ来ていただき、ありがとうございます。事件は今のところ何も起こってはいません」

その人物が頭を下げ、椅子に座ると、家主の女性が飲み物を持ってきた。

「お体は大丈夫ですか?ロール国でご病気になられたばかりですし、無理は禁物ですぞ」

ルーファスが言うと、「大丈夫です」とその人物は微笑む。

「ライナ、私の家族はどうしていますか?」

ライナは気まずそうな顔で答えた。

「リトー国でお元気に過ごされています。そして、この世界大戦が終わり次第、あなた様をどこかの国の王子と結婚させると仰っていました」

その人物の表情が一瞬にして失われる。両手で顔を覆い、深いため息をついた。
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