俺の同僚曰く、世界平和はどんちゃん騒ぎと笑顔でできている「下」
「あの入れ墨男が、病院からいなくなったんだヨ!」

全く予想していなかった情報に、俺は「は?」と口を開ける。刑事の話は続いた。

「あの入れ墨男は、三日ほど経って目を覚ましたのネ。でもちょっと目を離した間に煙みたいに消えちゃったのヨ!!」

俺は今朝読んだ新聞などを思い返すが、そんな記事はどこにもなかった。ということは……。

「公には公開していない、ということですか?」

俺の言葉に刑事は頷く。

「でも、これから指名手配をするつもりネ。あの狙われてたタンバリー国のお嬢さんにも気をつけるように言っておいてヨ!」

刑事はそれだけ言うと、足早に立ち去っていく。止める間もなく、刑事は一瞬で消えた。朱国の人間は全員魔法使いなのか?

「リリーは記憶を失っているのに、どうしろと言うんだ…」

一人になった会議室で、俺はため息をついた。



俺は警察署を出て、すっかり日の暮れた道をとぼとぼと歩く。日の暮れた道を歩いているのは、俺一人……だと思っていた。

「やっほー!世界平和対策本部の議長さん!!バーとかに行くの面倒だから飲みに来たぜ!」

俺の家の前で、ピースサインをして立っているレムがいた。
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