俺の同僚曰く、世界平和はどんちゃん騒ぎと笑顔でできている「下」

フローレンスはメロウ国のお菓子の本をめくり、小町は詩集を読んでいる。ジャックとリーは生徒に何かを教えていて、リリーは生徒たちと楽しそうに話しながら一緒に勉強している。

「ねえねえリーバスくん。こんな本があったよ〜」

イワンが微笑みながら一冊の本を手に、俺のところにやって来た。なんとなく嫌な予感がして、俺は警戒する。

「何だ？」

「やだなぁ。別に変な本じゃないよ！これこれ！」

イワンが手渡してきたのは、「世界の貴族一覧」という本だ。

「リリーくんの家のこと、何かわかるんじゃない？」

そう笑ってイワンは立ち去っていった。俺は本を見つめる。

迷わずページをめくっていた。リリー個人のことは知っているが、家のことまではたしかに知らない。いい機会だと思った。

タンバリー国の貴族のお行を見る。

オースディン、オルモット、オリバー、……。

様々な名前が載っているが、そこに「オクト」は書かれていない。どういうことだ！？

俺は焦り、何度も探す。しかし、どこにも書いていない。リリーは、貴族ではないのか？……やはり……。

リリーは、俺が不安げな顔をしているとは知らずに生徒たちと笑っている。



本当は認めたくない。しかし、嫌なことほどよく当たる。

メロウ国から帰国して数週間後、世界を翻弄させていた黒幕がリリーの首にナイフを突きつけ、叫んだ。

「この女の本当の名はクリスタル・モーガン！タンバリー国の王女だ！！」