俺の同僚曰く、世界平和はどんちゃん騒ぎと笑顔でできている「下」
リリーの体がさらに激しく震える。このままではいけない。

俺は、「違う!」と口を開いた。ジャックが訝しげに俺を見つめ、リリーも泣きながら俺を見る。

「俺は、リリーを必要としている。リリーがいなければ、俺はずっと貴族に偏見を持ったままだった。それに、他国を知らないままだった。リリーが俺たちを一つにしてくれた。色々なことを教えてくれた。……本当に、ありがとう」

俺に、恋を教えてくれた。かけがえのないものを、与えてくれた。

リリーの目が見開かれ、また涙があふれ出す。しかし、その涙は恐怖や悲しいものではないと俺は一目でわかった。

「俺も必要だ!」

アレックスが言った。

「リリーがいてくれて楽しかった!つまらない会議をおもしろく思えた!」

続いて小町が言う。

「リリーさんは、気さくに話しかけてくださいました。おかげで、人付き合いの苦手な私にもお友達ができました。非力な女性を盾に取る行為、恥を知りなさい!」

「リリーくんを傷つけるならどうなるか、わかってるよね?覚悟できてる?」

イワンが恐ろしい笑みを浮かべながら、ジャックに言い放つ。

「リリーがいなかったら、この戦争は終わらなかったネ!リリーのおかげで、私は婚約者のシンファと結婚できるヨ!ありがとう」

リーがリリーに笑いかける。
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