俺の同僚曰く、世界平和はどんちゃん騒ぎと笑顔でできている「下」
俺の恋人は、まるでひまわりのように明るい
リリー・オクトがクリスタル・モーガンに戻り、ジャックが逮捕されたことにより、世界は平和になった。

そして、タンバリー国で平和の式典が行われ、世界平和対策本部のメンバーも出席することになった。

タンバリー国の城の大広間で式典は行われることになった。対策本部のメンバーや貴族だけでなく、多くの一般人の姿もある。理由は、何となくわかった。

「……もう、リリーとは触れ合えないんだよね」

アレックスが寂しげに呟く。俺は、「リリーではなくクリスタル王女様だ」と訂正した。

本当は、俺も寂しい。当たり前のように近くにいた人が、好きだと気づいた瞬間に遠くに行ってしまったのだから。この胸に空いた穴を、これからどうやって埋めていけばいいのだろう。

「王女様のおなり!」

ラッパの音が豪華な大広間に響く。美しい装飾が施された扉がゆっくりと開き、リリー……いやクリスタル王女様が姿を現わす。

頭に王冠を被り、金色の糸で美しい模様が刺繍がされた赤いドレスを着ている。

「きれいですわね…」

フローレンスや、貴族や一般人たちが呟く。

俺の胸も高鳴り、美しいクリスタル王女様に目が離せない。届かない距離がもどかしい。
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