俺の同僚曰く、世界平和はどんちゃん騒ぎと笑顔でできている「下」
小町が言う。俺も「ああ、そうだな」と呟いた。

普段なら、「もう少し静かにせんか!!近所迷惑だろう!!」と怒鳴っている。しかし、リリーの久しぶりの笑顔を見ていると、今日くらいはこんな日もいいと思う。

ふと騒いでいたリリーが何かに気づく。そして、俺に訊ねた。

「リーバス、この辺りって宿ないんだけど…。辻馬車はもうこの時間来ないし、ホテルとかどうするの?」

騒いでいたアレックスたちが黙る。少しずつその表情が真っ青になったのは、言うまでもない。

俺たちは無計画でタンバリー国に来たのだ。最初から宿の予約などしていない。

「しまった〜!!」

全員の叫び声が屋敷に響いた。



結局、俺たちはリリーの家に泊めてもらうことになった。

広間をみんなで片付け、俺たちはメイドに客室にそれぞれ案内された。

広間やキッチンなどを除けば、この屋敷はほとんどの部屋が客室となっている。それに俺は驚きを隠せなかった。

ジャックの叔父の屋敷も、ベルベット卿の屋敷にも、自慢のコレクションを紹介する部屋や無駄に広く何に使うのかわからない空き部屋などがあった。しかし、リリーの屋敷には無駄な部屋が存在しない。
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