俺の同僚曰く、世界平和はどんちゃん騒ぎと笑顔でできている「下」
「やっぱりお城も違うんだね!王様が住んでるの?」

笑いながら訊ねるリリーに、小町は首を横に振った。

「この国には、王族は存在しません。昔は各地域にあのような城に住まわれていたのですが、今はお城は観光名所となっております」

「へえ〜……」

そう言うリリーの表情が、どこか羨ましがっているように見えた。

「ここでは民族衣装を着たりすることができるんです!リリーさんが以前着てみたいと仰っていたので……」

「本当!?やった〜!」

民族衣装、と言うことは小町が着ているような着物のことだろう。リリーが着たらどんな姿になるのだろう…。きっときれいに違いない。

「小町さん、僕も着てもいいですか?」

ジャックがそう訊ねると、小町は「もちろんです」と頷く。

俺たちは着物が飾られた店の前へと移動した。ジャックとリリーが楽しそうに店へと入っていく。

「リーバスさんもよろしければ着てみませんか?」

小町に言われ、俺は「いいのか?」と訊ねた。

「はい。ぜひ、桜花国の文化に触れていただきたいのです」

小町が微笑む。

すると、店のドアが開き、リリーが「小町!リーバス!早く早く〜!」と俺と小町の腕を掴んだ。

「お前は待つことができんのか!」

俺のため息に、小町がくすりと笑った。
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