俺の同僚曰く、世界平和はどんちゃん騒ぎと笑顔でできている「下」
小町の家の旅館は、百年ほど前からずっとある老舗のものらしい。

「老舗ですか!楽しみです」

骨董品が好きなジャックはそれを聞いて喜んだ。

城下町から人力車で向かうこと、二十分。温泉街に小町の旅館はあった。

入り口の掃除をしていた中居が俺たちに気づき、ぺこりと頭を下げる。

「温泉旅館、『四季の羽』にようこそお越しくださいました」

「お父様とお母様はいますか?」

小町が中居に訊ねる。

「はい、いらっしゃります」

「ありがとうございます」

小町はお礼を言い、扉を開ける。

「お邪魔しま〜す!」

元気よくそう言いながらリリーが入って行った。

ジャックは中居に頭を下げて中に入る。俺も「世話になる」と言って入った。

旅館の中はとてもきれいだった。土産物が置かれている棚の上にはゴミひとつない。清潔感であふれている。きれいな模様が彫られた壺に、季節の花が飾られている。

「お父様、お母様!お見えになりました〜!」

小町が珍しく大きな声でそう言うと、奥から二人の男女が現れた。着物をしっかりと着こなし、穏やかな笑みを浮かべている。
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