俺の同僚曰く、世界平和はどんちゃん騒ぎと笑顔でできている「下」
リリーの着物姿を見て、また俺の鼓動が早まった。

リリーは着物ではなく、いつもと同じようなロリータ服などを着ていた。しかし、今日は絢爛豪華な花ぐるまの柄の着物を着ている。髪も初日とは違う髪型をしていた。

「……どうかな?」

リリーが頰を赤くしながら訊ねる。俺も顔を赤らめながら、「……よく、似合ってる」と呟いた。

「ありがと!」

リリーは笑い、俺の手を取る。

「小町、着付けてくれてありがとう!行ってきま〜す!!」

「お気をつけて行ってらっしゃいませ」

リリーは俺の手を引き、廊下を走る。

「こら、走るな!転ぶぞ!」

俺がそう言った矢先に、リリーの体が前に傾く。俺はリリーの腰に手を回し、抱きとめた。

「ご、ごめん…」

「全く……これだからお前は……」

リリーの体は相変わらず華奢で細い。互いの温もりに触れ、鼓動と体温は高まっていくばかりだ。

「ほら、行くぞ。今度はゆっくり歩け」

本当はもっとくっついていたい。しかし、ここでは人の目がある。俺はリリーの体を離し、その手を引いた。手だけは、どうしても離せない。
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