俺の同僚曰く、世界平和はどんちゃん騒ぎと笑顔でできている「下」
「次に鈴を鳴らして、二礼してから二拍手して、目を閉じて手を合わせたまま願い事を言う」

俺とリリーは鈴を持ち、左右に振った。鈴の音が静かな神社に響き渡る。

二回頭を下げた後パンパン、と手を合わせて目を閉じる。

俺の願い事か……そういえば、全く考えていなかった……。

暗闇の中で、リリーの笑顔が浮かぶ。

世界平和対策本部の議長ならば、世界平和を願うのが義務なのかもしれない。しかし、俺はそれ以上に叶えたい願いがあった。

リリーと、この先もずっと一緒にいたい。もっと深く考えもいいのならば、身分も何もかも超えてリリーとーーー……。

願い終わり、目を開ける。目の前に光と色が戻り、この世界が美しいことを教えてくれる。

俺は隣にいるリリーを見つめた。真面目な表情で目を閉じ、手を合わせている。何を願っているのだろう。リリーの心をそっと覗いてみたい、そう思ってしまった。

リリーが目をゆっくりと開ける。その表情も美しい。

「……最後に一礼して、参拝をおしまい」

俺とリリーは礼をし、参拝を終えた。願いが叶ってくれたらどれほど嬉しいだろう。
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