俺の同僚曰く、世界平和はどんちゃん騒ぎと笑顔でできている「下」
神社の階段を、何者かが上がってきた。赤い上布に赤いズボンを履いている。確か、リーの出身国・朱国の民族衣装の一つだ。男性が着ているものだ。

その人物は、狐の面で顔を隠している。その光景が異様で、俺は劇ではなく男性に自然と目が向いた。

その男性が懐から何かを取り出し、こちらに向ける。俺はそれが何かを一瞬で理解し、叫んだ。

「伏せろ!!」

全員が何事かと芝居をやめる。リリーも驚いた表情で俺を見た。

「伏せろ!!」

俺がそう言った刹那、恐怖のどん底に突き落とす音が響く。バンッと大きな音がし、俺はリリーに覆い被さった。新喜劇の人たちもしゃがみ込む。

男性が銃を発砲したのだ。確保したいところだが、男性とは距離があるし、俺は銃も何も持っていない。

男性は六発発砲すると、俺たちに背を向け走り去る。どうやら俺たちを殺傷する気はなかったようだ。だとしても、これは許されることではない。

「みんな怪我はないか!?」

リリーを含め、みんな首を縦に振る。それを見た俺は犯人を追って走った。

階段を降りると、すぐに犯人は見つかった。しかし俺が追っていると気付いた犯人は、逃げる速度を上げる。

「待て!!」

俺は犯人を追いかけ、全力で走る。
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