俺の同僚曰く、世界平和はどんちゃん騒ぎと笑顔でできている「下」
犯人は俺を妨害するために、ゴミ箱を倒したり、立てかけてある看板を投げつけてきたり、死にものぐるいで抵抗する。

「待て!!こんなことが許されると思うなよ!」

警察官として、世界平和対策本部の議長として、そして人間としての正義が俺の中で燃え上がった。

しかし、神社から三百メートルほど離れた場所で、全く予想のしていなかったことが起きた。

犯人は止まっていた馬車に乗り込み、走り去ってしまったのだ。おそらく御者は共犯者だろう。偶然にしてはできすぎているし、犯人が乗り込んだ直後に馬車は動き出した。それが何よりの証拠だ。

馬車に乗られては、到底追いつけない。俺は犯人を追うのをやめ、神社へと戻ることにした。

しかし、リリーや新喜劇の役者たちは、神社から出て俺のもとへと来る途中だった。

「警察には通報しましたんで、安心してください」

太郎さんが言う。俺は俯くことしかできない。

「犯人は?逃げちゃったの?」

そう訊ねるリリーに、俺は黙って頷いた。対策本部のメンバーの情報が書かれた資料を盗まれた時のように、犯人を取り逃がしてしまったのだ。
< 46 / 211 >

この作品をシェア

pagetop