青い龍の激情
「それにしても、派手に買いましたね。」

増田さんが、重い袋を持ってくれた。

「そうよね。いつもああなの?」

すると増田さんは、買って来た服を、ハンガーにかけながら、笑っていた。

「俺は入って、数年しか経っていないですけど、あんな若頭を見たのは、初めてです。」

「えっ……」

胸がドキッとした。

初めてって……


「余程気に入ってるんですね、姐さん……いや、知世さんの事。」

自然に、笑顔になった。

どうしちゃったんだろう。

無理やり襲われそうになった人なのに、気に入ってるって言われて、嬉しいだなんて。

「そう言えば、夕飯どうします?」

増田さんが、袋を片付け始めた。

「ああ……ユウさんと同じ食事で。」

「それは、困ったな。」

「はい?」
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