青い龍の激情
すると、キッチンの入り口から、クスクスと言う声が聞こえてきた。

シェフ達に紛れて、笑っていたのは、増田さんだった。

「いいじゃないですか。知世さんは、まだ姐さんじゃないんだし。」

「そうなんですか?」

シェフ達が、一気に私を見る。

ここは、きちんと言っておかなきゃ、いけないのかな。

「……はい。まだ、付き合っていないです。」

そう言ったら、シェフ達は黙り込んでしまった。

そしてまた、笑いだす増田さん。


「どうして、そんなに笑うんですか?」

「いや、今まで若頭が手を付けなかった女って、いなかったからですよ。」

胸の中が、もやっとした。

「それは、借金の肩に連れて来られた女性を、手あたり次第、ユウさんが手を出していたって事?」
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