青い龍の激情
歩きながら、増田さんに質問した。

「丸山組の頭・丸山勇夫の年の離れた妹です。小さい頃から幼馴染みの関係でして。ただ、いつの間に婚約したかは、分からないっす。」

「そう。」

私は、涙を堪えていた。

そうか。

ユウさんには、婚約者がいたんだ。

しかも、あんな可愛い女性。


「帰りましょう、知世さん。」

「ええ。」

乗って来た車に乗り込み、私と増田さんは屋敷に帰って来た。

「夕食にしましょう。」

「うん。」

本当は食欲が無くて、食べたくないんだけど、それじゃあ周りの人に、迷惑かけちゃうし。

私は食事の間に、そのまま向かった。

そして、私専用の夕食が、運び込まれてくる。


いつもの光景。

なのに、悲しい。

涙がポロポロと零れて来た。
< 41 / 85 >

この作品をシェア

pagetop