青い龍の激情
「あの時は、ああ言うしか、なかったんじゃないですかね。」

私は、後ろを振り返った。

「どういう事?」

「あそこで雪野さんを否定すれば、彼女暴れるでしょ。手術を受けたばかりの体では、知世さんを守れないでしょ。」

私は、立ち止まって考えた。

確かに、修羅場になったとしても、私には言える立場じゃないし、ユウさんだって、動く事ができない。


「だったら、余計。ユウさんが退院するまで、私は待つわ。」

「知世さん。」

そうよ。

何でもっと、ユウさんの置かれている立場を、考えてあげなかったんだろう。

私がユウさんを好きな気持ちで、そんな程度の事じゃ、なかったでしょう?

私は、空を見上げた。

ここに来た時も、空を見上げたっけ。

あの時は、途方にくれていたけれど、今は、ユウさんがいる。

しっかりしなきゃ。
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