青い龍の激情
「……彼女の、独りよがりだったんですか?」

なんだろう。

こんな寂しくなるのは。

「いや、俺も思わせぶりな事をしたのかもしれない。」

それを聞いて、胸がスッとした。

「モテるんでね。」

「はははっ。振られてばかりですけどね。」


よかった。

ゆっくり話もできたし、笑ってもお腹の傷に、影響はないみたい。


「じゃあ、私はこれで帰りますね。」

「はい。」

立ち上がって、荷物を持つと、ふいにユウさんに手を捕まえられた。

「……気を付けて。」

「ありがとうございます。」

私は笑顔で、病室を後にした。


ユウさんが、屋敷に帰ってくるのが、楽しみ。

そう思った矢先だ。

「あれ?増田さん?」

てっきり廊下にいるものだと、思っていたのに。

すると、後ろから手が伸びて来て、鼻にハンカチを当てられた。

「ん……」

私は、スーッと眠りに落ちた。
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