青い龍の激情
ユウさんは、優しく私を抱きしめてくれた。

「ユウさん。」

私はユウさんを抱き返した。

「怪我はもういいの?」

「増田のおかげで、傷口は開かずに済んだ。」

「病院に戻るんでしょう?」

ユウさんは、返事をしない。

ただただ、私の髪を優しく撫でてくれた。


「帰ろう、屋敷へ。」

「うん。」

ユウさんと一緒に、車に乗った。

「病院には、何て言って来たの?」

「用事がある、かな。」

「それだけで、病院から出してくれたの?」

「普段は、大人しい患者だからな。」


もしかして、私の為に大きな声を出してくれたの?

ああ、言ってしまいたい。

あなたが、好きだって。


屋敷に着いたユウさんは、私と一緒に車を降りた。

「病院に戻らなくてもいいの?」

「家に一泊してくると、伝えてある。」
< 54 / 85 >

この作品をシェア

pagetop