青い龍の激情
「知世……」

お母さんの声が聞こえる。

「お父さんとお母さん、質素な生活で資金を貯めて、ようやくこの店を手に入れたんです。お願いです。このお店だけは取らないで下さい。」

その人は、私を大きな目で見ると、クククッと笑った。

「いいねぇ。」

そして、唇をペロッと舐めた。

「両親の為に、店を残して下さいか。あんた、自分の立場分かってるのか?」

私は、頭が真っ白になった。

「えっと……」

「ヤクザに金を借りて、返せないとならば、若い女差し出せって事だよ。」

私はその時、自分の身の置かれた立場を、初めて知った。

「もしかして、私……」

「そうだな。」


それを聞いたお父さんは、キッチンから駆け足で、店の方にやってきた。

「娘だけは、勘弁してください。」
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