青い龍の激情
そして私は、自分の部屋に戻ると、ここに来た時に着ていた服だけ、袋の中に入れた。

後は、ユウさんに買って貰った物。

このお屋敷で着る為に、もう一度、ここに戻って来る。


「準備できました。」

荷物の少なさに、お父さんもお母さんも、驚いていた。

「そう言えば、何も持たずに、ここに来たんだもんな。」

お父さんなんて、涙ぐんでいる。

「寂しかったでしょう。」

お母さんは、泣きながら、私を抱きしめてくれた。

「寂しくなんか、なかったよ。ユウさんが、いてくれたから。」

私は、ユウさんを真っすぐ見た。

ユウさんも、私の事を、見つめてくれている。



分かっている。

これは、別れじゃない。

ただ、自分の家に戻るだけ。

すぐに、会えるようになるんだよね、ユウさん。
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