青い龍の激情
「ふふふ……」

この人、笑ってる。

人が困ってるのに、何とも思わないの?

「お願いです!」

遂にお父さん、土下座までしてしまった。


「親父。俺は、この娘を気に入った。連れて行く代わりに、借金の期日、伸ばしてやる。」

「えっ……」

顔を上げたお父さんは、どうすればいいのか分からないって言う顔をしていた。

「……お父さんが、借金を返せば、私は開放されるんでしょ。」

「ん?」

息をゴクンと飲んだ。

怖くない、怖くなんかない。


「いいわよ。私、行くわよ。」

「知世、止めろ!」

私の腕を掴んで止めるお父さんの側に、腰を降ろした。

「お父さん、大丈夫。私、平気だから。」

「知世!」

そして私は立ち上がると、真っすぐその人の顔を見た。
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