青い龍の激情
「誘拐のつもり。」

そう言って増田さんは、ニヤッと笑った。

「私を誘拐してどうするの?お店には、お金はもうないわよ。」

「金の為じゃないよ。」

増田さんは、ナイフを取り出すと、私の顔に当てた。

「目的は、青い龍の命だ。」

「ユウさんの!?」


どういう事!?

増田さんが、ユウさんの命を狙うだなんて!


「あんたの母親には、娘を助けたければ、青い龍に連絡しろと言ってある。後は、青い龍次第だ。」

「そんな!」

お母さん、どうやってユウさんに連絡を取るんだろう。

まさか、屋敷まで行って?


その時だった。

「やい!娘を返せ!」

お父さんの声がした。

「なんだ、青い龍じゃなく、あんたの親父が来ちまったな。」

私は、縛られている中で、ありったけの声を出した。
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