青い龍の激情
「よし、行くか。」

「知世!」

お父さんとお母さんが泣き叫ぶ中、私は黒い車の後部座席に乗った。

そしてあの人も、私の隣に乗った。


不思議な感覚。

なんか、この人の隣にいると、怖くない。


「あの……」

「なんだ?」

「お名前、教えてくれますか?何と呼べばいいか、分からなくて。」

「高田……雄二。ユウとみんなには、言われている。」

「じゃあ、ユウさん。」

私が呼んでも、ユウさんはこっちを見てくれなかった。

「……どこに行くんですか?」

「ウチの組だ。そこで、君には大人しくしててもらう。」

「はい……」


まさか、極道の元に行くなんて。

そして待ち構えていた事に、自分の運命も変わってしまうなんて、思ってもみなかった。
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