青い龍の激情
殺られる!

目を瞑った瞬間、ナイフが床に落ちる音がした。

「知世!」

目を開けると、ユウさんが増田さんを蹴り上げたところだった。

「ユウさん!」

私はユウさんの胸元に、抱き着いた。


「この野郎!」

増田さんは立ち上がると、またナイフを持った。

「絶対殺してやる!」

「増田ああ!」

耳元で、ユウさんの大声が聞こえる。

「これ以上やると言うなら……」

ユウさんは、私の目の前でスーツの上着とシャツを脱ぐと、背中を見せた。

「この青い龍が、黙ってないぞ!!」

「ひぃっ!」

増田さんは、ユウさんの背中の入れ墨を見ると、途端に膝を着き、ナイフを落とした。


ユウさんはシャツを着て上着を拾い上げると、私を抱き寄せてくれた。

「知世。怖い思いをさせたな。」

「ううん。」

逞しいユウさんの腕に抱かれて、私は少しだけ安心した。
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