クリスマスの夜に
だが今はその特例の症例だ。
人体にメスを入れるオペは、今やもう時代遅れとなっている。
新人の研修医さえも、メスの握り方など教わることもない時代だ。
「よく見ておけ、俺たちの時代はこうして人の体を切り刻み、命を救い繋いできたんだ」
一人の医師が流れ出す流血を見ながら気分を悪くした。
「先生、すみません。」そういうなり、口を押えオペ室から立ち去った。
「やれやれ、医学が進歩するのも考え物だな」
そう言いながらも俺の手は動きを止めない。