クリスマスの夜に

「どうしたの? こんな夜空を見上げて」
 彼女が不思議そうに言う。
「なんでもないさ」
「もしかしてまた思い出していたの?」
「……たぶんな」
「そうかぁ、寂しいよね」
「ああ、」
「でも私は、あなたの妹にはなれない。ううん、あなたが愛する人にはなれない。どんなにこの身があなたの愛する人に似ていようとも」

「そんなことはわかっている。君は君であることに」
「わかっている。でもあなたの心の中ではそうは思っていない。それはどうしてなのかもこの私に問いただすこともしない」

 問いただすこともしない。
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