クリスマスの夜に
その本によれば、そのペンダントをサンタクロースから託された人物は、己がこの世界に行くことを望むか、もしくは、自分が託した人に己のすべてをささげこの世を去るかの選択をしなければならない。
それはどんな思いが込められているのかは、そのペンダントを持つ人の想いにより様々だという。
「この本に書かれていることは架空の事なんだろ?」
「そうありたいと思う?」
彼女は表情を変えずに答える。
「事実よ。まやみさんの想いが込められたペンダント。通常はペンダントを使いこの世界に召喚されればペンダントは消滅する。でも、まやみさんの想いがあなたにこのペンダントを残し、そして託された。まやみさんの命はあの世界では、あと数か月しか持たなかったことをあなたは知らなかった。彼女の想い、そしてあなたを悲しませたくないという想いが、まやみさんをこの世界に召喚させた」
召喚? この世界に。