クリスマスの夜に
第5話.Merry Christmas
時は必ずしも同じ世界を繋いでいるわけではなかった。

 水面に落ちる雫。水面に落ちた雫は波紋を描き消えていく。
 落ちる雫は我々の思うところの時間という概念だという。

 そして波ゆく波紋こそが存在する世界。

 雫が落ちるたびに、波紋は広がる。雫が落ちるとまた新しい波紋が描かれる。

 常に一つの雫が落ちるたびに新しい世界が広がる。

 僕らの存在する世界はその波紋の一つにしかならないのだと。

 今、ここに、新たな世界が広がっていた。
 消えゆく世界に広がりを見せる世界。
 だがそれはあくまでも水面上でのことだ。
 ではその水面下ではどんな世界が広がっているのだろうか?
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