クリスマスの夜に

メイリアの意識が戻り、ゆっくりと目を開け始めた。その瞳は僕の姿が映し出されている。
彼女が放した言葉それは

「お兄ちゃん」

その一言で僕はまやみが帰ってきてくれたんだと、涙を溢れさせ彼女の手を握った。
だが、僕のその手は次第に透明度を増していく。

この世界にいられる時間が残り少ないことを意味しているのだろう。
僕はこのまま、静かに消えて、この世界からも消えていくのだろう。
ようやくまた会えたまやみを一人の残し、僕はこの世から消え去る。

「まやみ、ごめんねな。もう時間が来たようだ。最後にまたまやみに出会えて嬉しいよ」
「お兄ちゃん」
力が抜けるように僕の体は透き通り、その影は消えていく。
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