偽りの彼女と真実の彼女

「えぇ」

「貴方はあの御方の婚約者ですよ?」

「婚約破棄されたの。私はもう二度とあの方には会えないの。そう、一生会えないの」

「ですが...」

「それと、私に何かあった時にこれを渡して欲しいの」

綺麗な刺繍を渡された騎士は驚きました

「こ、これは!」

「もし、あの方や私の身にも危険なことがあったらこれを持って隣の国に見せて欲しいの!これだけはお願いしてもいいかしら」

「どうしてそんなに優しいのですか!」

「私はあの方に愛されたという事が誇りなのよ。私は両親、兄、国民にありもしないことをされて、追放となってたどり着いた国で愛されただけで十分幸せだったのよ」
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